Page5.おしえて世界会議!

公演本番まで残りもうわずかとなりましたが、「結局、世界会議ってどういうことをするの??」
と言った質問をたまに受け取ります。
page5 はそんな公演に対する疑問を、舞台にあまり詳しくないゲストをお迎えして、
分かりやすく解決していくコーナーです!










聞くひと


名前:Sさん
大学1年生、友達に聞いて小池博史ブリッジプロジェクトを知ったけど、
これまで舞台を観たりしたことがないため、イマイチわかっていない。
絵を描くのと甘いものが好き。


答えるひと


名前:こいけさん
小池博史ブリッジプロジェクト主宰・演出家。
舞台公演を続けて30年以上、世界各国で公演を行う超ベテラン。
稽古の前後に中華料理屋さんによく行く。







S さん
本日は稽古も終盤でお忙しいところありがとうございます!
 
 
こいけさん
いえいえ、なんでも聞いてください!
 
 
S さん
はい! 根本的なことなんですが、『舞台』って演劇とかダンスしたりすることですよね。
小池博史ブリッジプロジェクトもそういうことをやっているんですか??
 
 
こいけさん
ブリッジプロジェクトはその名前の通りで橋をかけていくプロジェクトということなんだね。じゃあどんな橋をかけるかなんだが、決まったジャンルを超えていく、人種や国境の壁を超えていく、時代を超える、そんなことをしようとしているプロジェクト団体なんです。
 
 
S さん
橋をかけていく? 具体的にはどんなことをするのでしょう。
 
 
こいけさん
ブリッジプロジェクトの舞台作品は単純にセリフを喋ってストーリーを追いかけるような演劇ではなくて、いろいろなバックグラウンドの踊り手や俳優や音楽家が一堂に会して、普通はあり得ない組み合わせのなかでの化学変化をもたらすべく、創作しているんです。だからたとえば世界会議では、能楽師がいたり、古典の演奏家がいる一方で、コンテンポラリーの舞踊家や俳優もいる。これがすごく面白い。あり得ないと思われている組み合わせが、これでなくては成り立たないという作品にまで変化していくんです。
簡単に言えば、橋を架けて溶け合わせる、それがブリッジプロジェクトの仕事です。
 
 
S さん
そんないろいろな人を集めてもちゃんと舞台ってできるんですね。
なんか想像つかないです。。。
 
 
こいけさん
見たことない人には想像つきづらいかもしれないですね。
そんな君のために稽古の様子を撮ってPVを作っているから、是非見てみてください。
 

S さん
見ました! 映像だけでも、なんか凄いエネルギーだなぁって思います。
 
 
こいけさん
この映像は稽古の段階のものだけど、本番ではそれだけでなく、トップアーティストによる舞台美術や映像、照明も加わるとなかなか凄いことになると思うよ。空間全体が命をはらんでいくような、つまりそこにあるのは舞台作品なんだけど、命のある生物であるかのように動き出す、そんなイメージで演出をしています。
 だからよく圧倒されたとか、引き込まれて動けなかったなんて感想をもらうけど、それは生々しくもドライであり、美しいものを見るとそうなるのは当然だと思うんだよね。
 
 
S さん
それは、生で見ないと伝わらないものですね……。
私はまだそういうのは見たことないかもしれません。
舞台での美術ってどういうものなんですか?? 映画みたいな部屋のセットとかそういうのじゃないんですよね?
 
 
こいけさん
世界会議では現代美術家の栗林隆さんが美術を担当しているんだけど、和紙で作られた大きなひまわりが世界の境目を表していたりする。僕らは世界の狭間に立ってしまっているような感覚を強くぼくはもっているからね。フレコンバッグがいくつも置いてあったり、そのひまわりが浮いたり、スケールの大きい美術になっています。

 

S さん
ひまわりが・・・浮く・・・? 字面がすでに凄いですね(笑 
抽象的だけど、確かに凄そうです!
ところで、世界会議ってタイトル見る限りとても重くてかたそうなイメージがあるんですが。ストーリーとしてはどんな感じなのですか?
 
 
こいけさん
会議といっても、椅子に座って話し合いをするようなイメージとは全然違いますよ。
ストーリーとしては、自然界の王様である「くま」が毛沢東やヒトラー、ジャンヌ・ダルク、空海、マザーテレサ、ガンジー、南方熊楠といった過去の偉人、狂人を呼び出して、現代の社会についての問題を彼らの身体表現をめいっぱい使いながらあーだこーだとやっていく。時間軸も空間軸も飛び越えていくんですよ。絶対に邂逅しない人々が勝手に呼び出されて現代に蘇る。言葉のやりとりだけではないし、彼らはそれぞれ強烈な個性の持ち主だから、思わず笑っちゃうようなシーンもいくつもあります。
 
 
S さん
はーー、なるほど。会議と言うもののかなり迫力がありそうですね!
そして私動物好きなんですが、くまも出てくるんですか!?
 
 
こいけさん
くまもでてくるんです。
 

 

S さん
しかもクオリティが高い!
 
 
こいけさん
出てくる小道具もひとつひとつにこだわって作っています。この写真の仮面だけではなく別の仮面もあるのだけど、そっちもかぶるだけで一瞬で世界が変わるからね。
 
 
S さん
小さいところへのこだわりが作品全体の質を高めていくんですね・・・!
なんかちょっと興味が出て来ました!
 
 
こいけさん
少しでも冒険してみたい人、見たことのない世界を覗いてみたい人、この世界は少し変かもしれないと思っている人、こんな人は非常に面白い世界だと思います。岡本太郎は「芸術は爆発だ」と言ったけれど、そうなんだよ、爆発していないものなんて見たってほんの少しの満足しか得られないんだ。そういう意味でも、自分を変えたり、見つめたりする上でも面白い機会になると思うな。
 
 
S さん
ありがとうございました! 友達誘って観に行きます!
 



公演情報
 
「世界シリーズ第1弾 世界会議」
吉祥寺シアター
【日程】2017年1月28日(土)ー2月5日(日)
 
【料金】(全席指定席) 
前売一般4,900円/学生割引 3,900円/高校生以下2,000円 /当日券 各券+500円 
 
【出演】
清水寛二(能楽師・銕仙会)、松島誠、白井さち子、荒木亜矢子、谷口界、立本夏山、吉澤慎吾
 
【演奏】
太田豊(横笛・サックス)、下町兄弟(ジャンベ・パーカッション)、徳久ウィリアム(ボイス・口琴)
 
【スタッフ】
作・演出・振付 :小池博史
美術:栗林隆
 
衣装:浜井弘治
映像:飯名尚人
小道具:森聖一郎
照明:上川真由美
音響:印南昭太朗
舞台監督:中原和樹
宣伝美術:阿部海太、阿部航太
演出助手:松縄春香
 
【チケット】
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小池博史
茨城県日立市生まれ。一橋大学卒業。TVディレクターを経て1982年パフォーミングアーツグループ『パパ・タラフマラ』を設立。以降、全55作品の作・演出・振付を手掛ける。パパ・タラフマラ以外での演出作品も多数。演劇・舞踊・美術等のジャンルを超えた、強くオリジナリティ溢れる作品群は、35ヶ国で上演され、国際的に高い評価を確立。各国アーティストとの作品製作やプロデュース作品の製作、世界各地からの演出依頼公演、プロ対象・市民対象のワークショップを数多く実施。97~04年つくば舞台芸術監督、アジア舞台芸術家フォーラム委員長、国際交流基金特定寄附金審議委員(05年~11年)等さまざまな審議員、審査員等を歴任。2012年5月、パパ・タラフマラ解散。青幻舎より「ロンググッドバイ~パパ・タラフマラとその時代」刊行。同年6月、新プロジェクト「小池博史ブリッジプロジェクト」を発足。2013年、自身初の単独著書「からだのこえをきく」を新潮社より刊行。