その2!!!!

多賀谷まつりか

演出助手 Asistant Director


舞台芸術の学校(P.A.I.)「からだをとりもどすスキルアッププログラム」受講生。踊るのは好きですがカタカナは苦手です。3月には学校の卒業公演もあるのでぜひ見に来てください〜!

1991年広島県生まれ。B型。ダンスをやったりお芝居をやったりしながらすくすく育つ。身長141cm。大学卒業後P.A.I.に入学。

 

新人演出助手まつりか、ひとつかしこくなる。

「マハーバーラタって、戦争の話らしい。」


新人演出助手まつりかです!第一回目の連載をお読みいただきありがとうございます!
たくさんの反響をいただき嬉しいです!ひきつづきよろしくおねがいします!

 

でもちょっと心細いので、今回はお友達をたくさんつれてきました。

 

 

・・・はい。
 
 
 
 
 
 
 前回は、小谷野さんに「マハーバーラタは戦争のお話なんだよ」って所まで教えてもらいました。
参照※前回「あのぉ、マハーバーラタってなんですか?」
 
戦争のお話とは!なんか物騒だな!
 

そこへ小谷野さんがたまたま風に通りかかる。

 
まつりか「小谷野さーん!・・・戦争について教えてください!!」
 
小谷野さん「戦争について?! 突然、随分ざっくりした質問だなぁ笑」
 
まつりか「あ、えっとこの前いってた、マハーバーラタの戦争について教えてください・・・」
 
小谷野さん「あ、それのことね。はいはい。」
 

※やっぱり落ち着いて話を聞きたいので着席しました。

 

 

まつりか「せんそうについて・・・」

 

小谷野「それね。えっと、まずざっくり言っちゃうとマハーバーラタっていうのは、 "クル家"っていう人達と、 "パーンドゥ家"っていう人達との戦争のお話なのね。」

 
まつりか「ほぅ。」
 
小谷野「でも、その"クル家"っていうのと、"パーンドゥ家"っていうのは実はいとこ同士なんだよ。」
 
まつりか「へぇえええええ!」
 
小谷野「そもそも王族の話なんだけど、クル家はドリタラーシュトラさんっていう人の息子達で、パーンドゥ家はその名の通りパーンドゥさんの息子達。そんでこのドリタラーシュトラさんと、パーンドゥさんは兄弟(正確にいうと異母兄弟。) 」
 
まつりか「ほほぅ。」
 
小谷野「んで、ドリタラーシュトラさんがお兄ちゃんなんだけど、目が見えないのです。
 

 
まつりか「あらまぁ!」
 
小谷野「なので、本当は長男が王位を継ぐはずだったんだけど、弟のパーンドゥさんがついで王様になったわけ。
 

 

 
小谷野「でも、この二人は別に仲悪いわけじゃなくて、むしろ仲良しでね。パーンドゥ王も、民の気持ちもすごくよくわかる良い王様だったの。」

 
まつりか「そうなんだぁ」
 

盲目の兄・ドリタラーシュトラ

弟で名君・パーンドゥ

 

小谷野「なんだけど、彼が、ある日森の中で狩猟をしてて鹿を射ったらそれが実は仙人で・・・」

 
まつりか「へ?」
 

 

小谷野「その射られた仙人が怒って、"なんだお前、仙人射っていいと思ってんのかー!"つって、"お前なんか呪ってやるー!"っていって呪われちゃうわけ。」
 
まつりか「へ??????」
 
小谷野「んで、しばらくしてその呪いのせいで亡くなってしまうわけ。」
 

     ↑しか

まつりか「へぇぇぇぇ!!!!?????」

 
小谷野「でも、その時まだパーンドゥの子供たちが小さかったから王様にはなれないってんで、盲目のお兄さんドリタラーシュトラが王様になるわけ。」
 
まつりか「・・・。」
 
小谷野「これが争いの発端となって、ドリタラーシュトラの子供達と、パーンドゥの子供達が王位継承権と国土を奪い合う、大戦争になるのです!!」
 
 
 
まつりか「・・・。」
 

小谷野「そんでね、そのパーンドゥの息子たちっていうのが5人いるんだけど、みんな神様の子供で・・・
 
まつりか「?!!」
 
小谷野「あ、ちなみにドリタラーシュトラの息子たちは100人いるんだけど、みんなギーっていうインドのバターオイルが入ったツボから生まれたんだよ!w」
 
まつりか「・・・あのぅ。。。」
 
小谷野「なに?」
 
まつりか「途中から世界観に全くついていけなくなりました・・・」
 
小谷野「どのへんが?」
 
まつりか「仙人とか、鹿とか、呪いとか、神様の子供とか、バターのツボとか・・・」
 
小谷野「あー笑 なるほど、そうだよね。」
 
 

 
 

 
まつりか「なんで神様がいっぱいでてくるんですか・・・あと、王様とかもいっぱいでてきて意味わからんちんです・・・」
 
小谷野「そうか、そうだね。その”マハーバーラタ”の世界観について説明したほうがよさそうだねぇ。」
 

 

小谷野「じゃあ、マハーバーラタの"世界観"について、説明してあげよう。」

※さらに落ち着いて話を聞くためにソファに座してみました。


まつりか「神様がいっぱいでてくるのはなんでですか・・・」

 
小谷野「神様はそもそもいっぱいいるんですよ。日本にもいっぱいいるでしょ?やおよろずの神様が。」

 

まつりか「あ、たしかに・・・」
 

 

小谷野「神様には神様の国があるんだよ。ざっくりいうと、神様の世界と、人間の世界、あと魔物たちの世界っていうのが、同じタイムライン上にあるって感じでイメージしてもらうといいかも。(詳しくいうともう少しいろいろあるけど)」

 

   
まつりか「神様の世界は、こう浮いてるかんじなんですか?」
 
小谷野「なんかね、もう少し重なり合ってるんだよね、この世と。だからヒマラヤとかまでいくと神様の世界と重なり合ってたりして、神様に出逢っちゃったりするんだよね。同じレイヤーで重なっているみたいな。だから、見える人にはみえるけど、見えない人には見えないという感じ?」
 
まつりか「じゃ、この辺にもいる、みたいな?」
 

こんなかんじ?

 

ヒマラヤに行くと神様に会える?

小谷野「そうそう、本当はこの辺にもいるんだけど、この辺はもう下界だから我々には見えない。でも、ヒマラヤとかいくと、その土地の波動も高くなっているし、その辺までたどり着ける人だったら神様と接点もてますよ、みたいな。」
 
まつりか「ほほーう」
 
小谷野「そんで、マハーバーラタの頃の話って、日本の古い神話や民話とかでもそうだけど、人間と神様の間の境があんまりないから、以外と"人間と神様が結婚する"とか。そういうことがしょっちゅう起きるんです。」
  
まつりか「千と千尋の神隠しみたいですね!」
 
小谷野「千と千尋?」
 
まつりか「油屋のお客はみんな神様で、ハクも結局「川」だった!みたいな。川かよー!みたいな」
 
小谷野「あーそうだね!それとちょっと似てるかもね」
 
まつりか「なるほどー!なんか、再び急に親近感です!」
 
小谷野「そうか、それはよかった笑。まーだから神様とか魔物とかがごちゃごちゃ混じっていっぱい出てくるわけね。神様とか簡単に人間に負けちゃうしね。
 
まつりか「負けちゃうの?!」
 
小谷野「人間にのろいとかかけられて、うわーどうしようこまった!とか笑」
 
まつりか「おいー!かみさまー!!笑」
 
小谷野「んで、神様が人間に助けを求めて、ちょっと困ったんだけど助けてくんないとか言っちゃったりするんだよ笑」
 
まつりか「なんか可愛い・・・」
 
小谷野「そもそも神様は昔は不老不死じゃなかったから、死んじゃったらそれまでだったし笑」
 
まつりか「神様死んじゃうのかい・・・」
 
小谷野「笑。 んでも、マハーバーラタの相当最初の方に、『ちょっとこのまんま魔物達のほうが強くなっちゃったら困るから、不老不死になりましょー』っていって、神様がみんなで不老不死の薬を飲むっていうシーンがあるんだよ笑」
 
まつりか「えー、それで神様が不老不死になったんだ・・・ なんかちょっとショックです笑」

 

 

まつりか「神様って、なんか、日本の一般的なイメージだと、こう雲の上に乗ってる・・・みたいな、本当にこう崇高で間違いを起こさず、聖人というか素晴らしい、みたいなものだと・・・」
 
 
小谷野「結構現代的な神様のイメージなんだよ、それって。たぶんね、キリスト教的というかー」
 
まつりか「あー」
 
小谷野「西洋的な神様のイメージで」
 
まつりか「一神教的ってことなんですかね・・・」

 
小谷野「アジア的な神様のイメージってそういうのじゃなくって、結構利害関係もあって 、だからこそ"神様とうまくやっていきましょう"みたいなとこがある。もともと日本もそうだったんだけどね。」
 
まつりか「 人間の社会とは別の社会がもう一個あるよっていう感じ?」
 
小谷野「そういう感じだよね、んで、日本でも『五穀豊穣』を願うために祭りや儀式をやったり、お供えしたりとかするでしょ?」
 
まつりか「しますね!秋には私の地元でもお祭りがありました!」
 
小谷野「そういうのをきちんとやると、あっちの世界からまた力が帰ってきて、稲をよく育ててくれたり、獲物がよく取れたりする。それは人間が自分の技術でやっているわけではなくて、やっぱり”向こうの力”がないと何もできませんっていうのが前提であるのよ。」
 
 

※五穀豊穣には、いい風と良い太陽の陽と、適度な水が不可欠


 
まつりか「んと、じゃぁ、神様の世界≒(ニアリーイコール)自然みたいなことなのかなぁ?」
 
小谷野「そんな感じかもね!んで、その神様たちも、やっぱり人間たちにお供えとか芸能の奉納したりとかすると、栄養になるわけよ。それで神さまがパワフルになって、その分こっちに返してくれて、そうするとますます人間もお祭りとかして、また向こうに力を与えて、さらに向こうから力が帰ってきて、みたいなそういう循環構造があるっていうのが、アジアの考え方の基本なんだよね〜。」
 
まつりか「なるほどーーーーー!」
 

 
小谷野「だから結構、神様も、仙人も、魔物とかも、それぞれ結構ある意味同じレベルなんだよね。対等というか。僕たちがいま喋っているみたいな感じ!」
 
 
まつりか「うーーーーん!!なんか、マハーバーラタの世界観は、その辺をイメージしながら知ると、腑に落ちるかも・・・!」 
 
 

 
小谷野「ふほほほほ!それはよかった! じゃあこれからパーンドゥ家とクル家が、なぜ対立を深めていったかを説明しよう!!それが今回の『幻祭前夜ーマハーバーラタより』のストーリーそのものだからねっ!」
 
まつりか「わー!!!いよいよ本題ですね!!」

 

 
 
 
小谷野「あっ!でも僕これから整体行かなきゃいけないから、また今度ね〜〜!」
 
まつりか「えー!小谷野さーん!まってー!次がきになるーーー!!」
 
 

話を聞いた人

多賀谷まつりか

演出助手 Asistant Director


舞台芸術の学校(P.A.I.)「からだをとりもどすスキルアッププログラム」受講生。踊るのは好きですがカタカナは苦手です。3月には学校の卒業公演もあるのでぜひ見に来てください〜!

1991年広島県生まれ。B型。ダンスをやったりお芝居をやったりしながらすくすく育つ。身長141cm。大学卒業後P.A.I.に入学。

 

今回答えてくれた人

小谷野哲郎さん

バリ舞踊家・パフォーマー


東海大学音楽学課程在学中よりサウンドスケープ研究の傍らバリ舞踊を始める。 1995年よりインドネシア政府給費留学生としてインドネシア国立芸術高等学院に留学。 学外でも現代バリ舞踊界最高の舞踊家達に師事し、舞踊技術と同時に精神的哲学的影響も強く受ける。2006年、Asian Cultural Councilの助成によりアメリカに滞在。パパ・タラフマラ作品では「ガリバー&スウィフト」「パンク・ドンキホーテ」「白雪姫」に、小池博史ブリッジプロジェクト「注文の多い料理店」「風の又三郎」出演。2013年の「マハーバーラタ」第1章、2014年の「マハーバーラタ」第2章にも出演。

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