その5!!!! 3ページ目

 
マハーバーラタについて全く知らない新人演出助手まつりかが、いろいろ話を聞いて賢くなるシリーズ。
第5回目はバリ舞踊家の小谷野さんに、マハーバーラタのあらすじを教えてもらっています!
アルジュナがヒマラヤに向かう話や、人気キャラのガトーカチャについておしえてもらい、ますます興味深々!桃太郎や孫悟空のモデルになったキャラもいるとか?
 
つづきをどうぞー
 
 

まだまだある 森での12年間の出来事


あの猿のモデル ハヌマーン

 
 

 

 
 

 
小谷野「あとマハーバーラタには、桃太郎のお猿さんとか、孫悟空のモデルになったっていう説のあるキャラもでてくるんだよ。」
 
まつりか「おぉー!また身近なやつ!」
 
小谷野「ある日、ビーマが奥さんのドラウパディを喜ばせるために「特別な花」を探して山に一人ではいっていくんだけど。」
 
まつりか「愛が深いですねぇ。」
 
小谷野「その山のなかで、一匹のおじいさん猿に出会うんだけど、これが実は猿の王家の血と風の神様ヴァーユの血を引く”ハヌマーン”っていうキャラなんだ!」

 

まつりか「それ、なんだっけ。どっかで聞いたことある・・・」

 

 

 

小谷野「ハヌマーンっていう名前のお笑いコンビいるよね笑」

 

 

 

まつりか「あっ!それだ!!!」

 

 

 

小谷野「このハヌマーンってのが、桃太郎に出てくる”犬、猿、キジ”の”猿”なんだなぁ。」

 

 

 

まつりか「そーなんだぁ!」

 

ハヌマーン

 

小谷野「これは、マハーバーラタではなくて”ラーマヤーナ”っていう物語の方にでてくるエピソードなんだけど、これが日本に伝わって『桃太郎』になったといわれているのね。んで、王子様が鬼のいる島まで行くのに、空を飛べるハヌマーンの力を借りて海をわたるんだよ!」
 
まつりか「鬼ヶ島に行く時ですねっ」
 
小谷野「そうそう。この”鬼ヶ島”が元のインドのお話では”羅刹の住むセイロン島”ってことになっているんだよ。」
 
まつりか「おぉぉおぉぉ、羅刹は鬼。さっき聞いたこととつながったー! 」

 

小谷野「で、ほらビーマは誰の息子だった?」
 
まつりか「はっ!ビーマも風の神様の息子だ・・・!てことは兄弟?!」
 
小谷野「そうなんだよ〜」
 
小谷野「あははは、ね?おもしろいでしょ?」
 
まつりか「すごいですー!」

アルジュナがついに武器を手にいれるらしい


 

そして"ナラ王の物語"もここで登場!

小谷野「んー、あと、この12年間で起きたことといえば、ヒマラヤに行ったアルジュナが神様たちに、武器をいくつも貰うってところかなぁ。この時に、アルジュナも自分のお父さんにあたる”インドラ神”にも出会って、そこでパシューパタを貰うんだ。」
 
まつりか「はっ、それは、界さんが言っていた"核爆弾"のことですね・・・!」
 
小谷野「そうだね。まぁ、そう断定できる史実はないんだけど、この武器を使った時の本編に出てくる表現がものすごくリアルだったり、この武器一つで世界が終わるっていうような表現があることから今でいう”核爆弾”なんじゃないかと考えるひともいるっていう感じだね。」
 

 

まつりか「ほぉぉぉぉ・・・」
 
小谷野「あ、あと”ナラ王の物語”とか出てくるのも、この辺だね。」
 
まつりか「あ、そうなんですね。」
 
小谷野「パーンドゥ家のみんなが12年森で暮らして、残りの1年は身を隠して生活しなくてはいけないっていう時に、"ナラ王っていう王様がいてね、彼はこうやって窮地を乗り切ったよ、だから僕らも真似してみようよ"っていうことで、出てくる物語なんだよね。だから『物語のなかの物語』ってかんじかな。」 
 
まつりか「へぇぇぇ。結構有名ですよね。」
 
小谷野「そうだね。このマハーバーラタっていうのは、やたら長いお話だからインドネシアとか、どこでもそうだけど、全部をやろう(作品にしよう)なんて人は、なかなかいないわけですよ。だから、だいたいこの部分だけ取り上げてやろうとか、ここのエピソードだけとかっていうのが普通なんだよね。で、そのなかでもナラ王の物語とか、ヴァガヴァットギータとかは特に有名な1節ってことかな。」
 
まつりか「なるほどぉ〜」

なるほどぉ

小谷野「んで、パーンドゥ家の人々はナラ王の物語とかにも勇気付けられて、いよいよ13年目をむかえるわけですねぇ〜」
 
まつりか「正念場ですね!」
 
小谷野「パーンドゥ家の兄弟たちは、身元を隠すために13年目は隣の国に、名前も仕事もかえて忍び込むのです・・・!」
 
まつりか「ニンジャみたい!!」
 
 
小谷野「長男のユディシュティラは僧侶、次男のビーマは料理人、三男のアルジュナは宦官として踊りのお師匠さんになる。四男のナクラは、馬の世話役、五男のサハデーヴァは牛の世話役に変装して1年を粛々とすごすはず!だったんだけど・・・。」

※宦官とは、去勢された男性のこと。
 

まつりか「えっ、どうなっちゃうの?!」
 
小谷野「お妃様の女中に変装していた絶世の美女、ドラウパディがねやらかしちゃうんですよ。」
 
まつりか「えーー!」
 

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話を聞いた人

多賀谷まつりか

演出助手 Asistant Director


舞台芸術の学校(P.A.I.)「からだをとりもどすスキルアッププログラム」受講生。踊るのは好きですがカタカナは苦手です。3月には学校の卒業公演もあるのでぜひ見に来てください〜!

1991年広島県生まれ。B型。ダンスをやったりお芝居をやったりしながらすくすく育つ。身長141cm。大学卒業後P.A.I.に入学。

 

今回答えてくれた人

小谷野哲郎さん

バリ舞踊家・パフォーマー


東海大学音楽学課程在学中よりサウンドスケープ研究の傍らバリ舞踊を始める。 1995年よりインドネシア政府給費留学生としてインドネシア国立芸術高等学院に留学。 学外でも現代バリ舞踊界最高の舞踊家達に師事し、舞踊技術と同時に精神的哲学的影響も強く受ける。2006年、Asian Cultural Councilの助成によりアメリカに滞在。パパ・タラフマラ作品では「ガリバー&スウィフト」「パンク・ドンキホーテ」「白雪姫」に、小池博史ブリッジプロジェクト「注文の多い料理店」「風の又三郎」出演。2013年の「マハーバーラタ」第1章、2014年の「マハーバーラタ」第2章にも出演。

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