その6!!!! 2ページ目

マハーバーラタの本場インドで作った「第2章」


現地の人たちはどんな感じだったんだろう?

 
まつりか「実際に、今回の『幻祭前夜』の前身となる『マハーバーラタ第2章』を昨年度、本場インドでも公演されてきたと思うのですが、その時の反応はどんな感じでしたか?」
 
白井「もうすごかったよ!」
 
まつりか「そうなんですね!」
 
白井「インドのムンバイ公演ではオールスタンディングで「ウァー!!!」って感じ、すっごい反応だった。”俺達のマーバーラタはこんなふうになっちまった!!”みたいな驚きがあったんじゃないかな。」
 
まつりか「俺たちの、って感じなんですね。」

 

小池「そうだね。特にインドやインドネシアでは、マハーバーラタはものすごくよく知られていて、「クリシュナホテル」とか「アルジュナスーパーマーケット」とかそんなのがいっぱいあるんだよ。そのくらい浸透しているものだからね。」
 

まつりか「そうなんだぁ!」
 
あらた「アジアでは本当にキャラクターとかもよく知られているから、お客さんは親しみもありつつ、自分の解釈もありながら観る。だからすごく深く演らないとそれに負けちゃうんだけど、そういう中で認めてもらえたっていうのは、すごいことだなぁって思うよ。私も今回はすごく楽しみ!」

ホテルクリシュナ

白井「あと、インドでは、小池さんのマハーバーラタはなぜドリタラーシュトラをフィーチャーしてるのかって盛んに質問されましたよ。」
 
小池「え、そうなの?」
 
白井「よく聞かれました。大した王様じゃないのになんで?って」
 
小池「あいつが一番悪いんだと思うよ、それこそ。」
 
まつりか「え!そうなんですか!」
 

 

子に甘く優柔不断

小池「それはそうでしょ。あの人がもっとしっかりしていれば、あんなことにならないもん。」
 
 
まつりか「いろんな人に優しくて、愛情の深いかわいそうな人だと思っていました。」
 
小池「いや、人に優しいんじゃないでしょ。ダイスゲームだってなんだって、問題の起点はあの優柔不断な王で、あの人がちゃんと制止できないからあんなことになっちゃったんだって。」
 
あらた「そうだなってうなずいてしまうっていうね。」
 
小池「そう、全部うなずいてしまう。何言われてもうなずいてしまう。」
 

まつりか「やばい。私、ドリタラーシュトラに共感しちゃってました。」
 
 

 
小池「え?!」
 
白井「うん、でも確かにそういう日本人っていっぱいいると思う。」
 
まつりか「なかなか自分の意思で判断できなくて、、自分の子供たちが暴走しても止められなくて、情に流されて人も自分も甘やかしちゃうっていう。」
 
 
あらた「その、ドリタラーシュトラ王の罪深さへの着目の仕方が、小池さんらしさというか、日本人らしさとして受け止められたっていうことなんじゃないですか?」

小池「うーん、自分ではよくわから無いけど。でも確かに今の状況、とくに戦後の日本では”無責任体質”がずーっと続いてきていて、その体質がどれだけ状況を悪くしてきてしまったかわから無いっていう思いはあるね。それは全く日本に限ったことではなくて世界中でそういうことが起きている気がする。それはマハーバーラタを通して感じることも一緒で、結局一番の責任者である王様が無責任体質だから、どんどん状況が悪くなったんだとおもうよ。」
 
まつりか「なるほど・・・」
 
小池博史「マハーバーラタに出てくる王様という立場も、今の時代の政治家も、やっぱ人々に対して自分の身を捧げなきゃいけないと思う。当たり前のことなんだけれど、それをできる人っていうのがなかなかいなくてさ。みんな自分を富ませることばっかり、とばっか考えてしまうわけですよ。」
 

 

白井「やっぱりダルマに従って生きていかなくちゃいけないんだよね!」
 
まつりか「で、出た!ダルマ!!」
 
あらた「なにそれ笑」
 
まつりか「や、わたし結局、ダルマについて赤いダルマさんとは別物ってことくらいしか私よくわかっていないのです・・・ ダルマって、なんなんでしょうか?」
 

 

小池「ダルマっていうのはようするに”自分の持っている宿命”みたいなものだな。つまり、自分の持っているものっていうのはそんなに沢山はなくって、与えられたポジションで最大限にやり抜くっていうことがいかに重要かということ。マハーバーラタの物語の一番根幹になっているのがこのダルマについてなんだよ。」
 
まつりか「与えられたポジション・・・?」
 
白井「好きとか嫌いとかやりたいとかじゃなくて、もうやらなきゃいけないみたいな。それが生まれてきたことの意味みたいなかんじかな。」
 
まつりか「な、なるほど・・・」

あらた「舞台に限らず芸術とか表現っていうのは、結局それをとりまく環境だとか、そこにいる自分たちの問題だとかが、大きく関わっているから作品だけの話をするっていってもどんどん広がっていっちゃうよね。」
 

 
 

まつりか「そうですね・・・しかもこの作品は、そういういろんな環境とか問題とかが、演者さんのからだとか空間とかを通じて、大きく降りかかってくるっていうような感じがします。」
 
白井「いいこというねぇ〜。 でもそれ、文字では(記事にしても)伝わんないかもね笑」
 
まつりか「ぐぉぉぉ!たしかに!  ・・・やっぱり、これは見るのが一番ですね。」
 

白井「そうそう。多分ね、2回くらい公演を観に来たら、よくわかると思うよ。」
 
あらた「実際この物語がわからなくても、そこで行われている愛憎劇とか、兄弟の問題とか、どこかしら共感する部分があるとおもう。考えさせられる部分もあるんじゃないかな。」

 

小池「新人演出助手まつりかは、見ててどうなの?」
 
まつりか「え!!!!なんですか!!!急に!!!!」
 
小池「いや、君も演出助手としてずっと稽古見ているわけだから、なんか感想とかあれば聞かせてよ。」
 
白井「わたしも聞きたい!」
 
あらた「わたしも!」
 
まつりか「え?! あっ えっと、えっと・・・あわあわあわ」
 
小池「なにあわあわいってんの笑」
 
まつりか「いや、あのですねなんていうか・・・」
 

 
 

まつりかは小池さんたちの前でちゃんと感想をしゃべれるのか?!→

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話を聞いた人

多賀谷まつりか

演出助手 Asistant Director


舞台芸術の学校(P.A.I.)「からだをとりもどすスキルアッププログラム」受講生。踊るのは好きですがカタカナは苦手です。3月には学校の卒業公演もあるのでぜひ見に来てください〜!

1991年広島県生まれ。B型。ダンスをやったりお芝居をやったりしながらすくすく育つ。身長141cm。大学卒業後P.A.I.に入学。

 

今回答えてくれた人

小池博史さん

演出家


茨城県日立市生まれ。一橋大学卒業。TVディレクターを経て1982年パフォーミングアーツグループ『パパ・タラフマラ』を設立。以降、全55作品の作・演出・振付を手掛ける。パパ・タラフマラ以外での演出作品も多数。演劇・舞踊・美術等のジャンルを超えた、強くオリジナリティ溢れる作品群は、35ヶ国で上演され、国際的に高い評価を確立。各国アーティストとの作品製作やプロデュース作品の製作、世界各地からの演出依頼公演、プロ対象・市民対象のワークショップを数多く実施。97〜04年つくば舞台芸術監督、アジア舞台芸術家フォーラム委員長、国際交流基金特定寄附金審議委員(05年~11年)等さまざまな審議員、審査員等を歴任。2012年5月、パパ・タラフマラ解散。青幻舎より「ロンググッドバイ~パパ・タラフマラとその時代」刊行。同年6月、新プロジェクト「小池博史ブリッジプロジェクト」を発足。2013年、自身初の単独著書「からだのこえをきく」を新潮社より刊行。

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今回答えてくれた人

白井さち子さん

パフォーマー


7歳よりクラシックバレエを始める。82年より6年間橘バレエ学校に在籍。牧阿佐美に師事。日本女子体育短期大学舞踊コース卒。在籍中、太田順造にパントマイムを師事。89年よりパパ・タラフマラに参加。以降パパ・タラフマラのほぼ全作品に出演。後進のパフォーマーのダンス指導にもあたる。パパ・タラフマラ作品のメインパフォーマーのひとりとして活躍。バレエ講師としても精力的に活動。小池博史ブリッジプロジェクトの「銀河鉄道」、2013年の「マハーバーラタ」第1章、2014年の「マハーバーラタ」第2章にも出演。

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今回答えてくれた人

あらた真生さん

パフォーマー、武道家


4歳よりモダンバレエを始める。大学卒業後ダンスシアターカンパニー「パパ・タラフマラ」でメインダンサーとして数多くの作品に貢献する。現在はソロ活動や異分野のアーティストとのコラボレーションを定期的に展開している。東京を拠点に、欧米、アジアでの後進の育成として大学・高校・中学校の講師も勤めている。