2030世界漂流・稽古場レポート、出演者紹介&インタビュー!
続いては、𠮷澤慎吾さん&甲斐美奈寿さんです!
𠮷澤
僕の表現活動のスタートは演劇からなのですが、 原点は高校演劇でした。 その時はアニメやゲームが好きだったので「声優になりたいなあ… 。」と漠然とした甘い思いを持ったのが始まりです。 まさか自分がこんな方向に来てしまうとは思ってもいませんでした 。良い意味でです。
その後、 演劇をちゃんと勉強したいと思い立教大学の映像身体学科という学 科に入学しました。 そして大学2年生の時に文学座附属演劇研究所に通い出して、 その頃から本格的に表現の道を目指し始めました。
中でも大学在学時に教授を務めていた勅使川原三郎さんと現在プロ ジェクトメンバーとして活動させて頂いているマレビトの会を主宰 する松田正隆さんとの出会いは僕の人生に大きな影響を与えました 。 勅使川原さんは僕がダンスを始めるきっかけを作って下さった方で 、 俳優の身体を作る訓練に良いかなと思って受けていた勅使川原さん のワークショップにどハマりしてしまい、その後現在の俳優& ダンサーというスタイルが徐々に形作られていくことになりました 。
𠮷澤
観客がパフォーマンスを観る前と後で、物の見方、考え方、 どんな影響を与えられるかが興味深いです。
そして存在を肯定されることです。 僕は自分でいうのも何なのですが、私生活で自尊感情が低く、 声がとても小さいので8割くらいの確率で今言った言葉を聞き返さ れます。ですから自分から言葉を発することもあまりないんです。 自分の意見なんか誰も聞いてくれないだろうと思ってしまうんです 。ところが舞台上ではそのリミッターが外れるというか。 存在してもいいんだという気持ちになるんです。 言葉では形容しがたいのですが僕自身がパフォーマンスの魅力と感じていることです。
𠮷澤
小池作品は異なる分野の表現を一つにまとめ上げ、さらに高い次元の表現を創り出せるクリエ― ションだと思っています。 それぞれのパフォーマーの強みを生かし、創作がなされていく。 それはすなわち参加する自分は何者なのか、 自分が表現者として作品に何が提供できるかを常に問われていると 言っても過言ではありません。
この『2030世界漂流』という作品も、「身体」・「空間」・「 時間」 が存分に満たされた濃厚な体験ができる作品に仕上がることでしょう。この作品が客席と交わる日がとても楽しみです。
𠮷澤
小池さんは毎回おもしろい人たちを集めて来ますね! 単的に楽しいです…!
中でもフィリップのパフォーマンスを大学2年生の20歳の時“ シルク・ドゥ・ソレイユ”『ZED』で目の当たりにしていて、 物凄い衝撃を受けたのを鮮明に記憶しています。 7年前に客席から観ていた人と同じ舞台で共演できるというのは最高に刺激的でとても光栄なことです。
𠮷澤
僕たちが今生きている社会は様々な問題を抱えていて、今後それが良い方向に行くとは限りませんし、何もしないでただ見過ごしているだけでは確実に悪い方向に向かっていくだけです。今僕たち1人1人が、それぞれの置かれた環境のその中で何ができるのかが問われています。僕は1パフォーマーとしてこの世界の流れに抗いたいと思います。
2030年、12年後はすぐそこです。
このすぐそこの未来が少しでも良い未来になること願い、僕は今この作品に臨みたいと思います。
甲斐
10歳ぐらいの時、当時一番仲が良かった友達がやっていたバレエをわたしも習いはじめ、気づけば私だけがバレエ教室に残っていました。バレエを続けたくて入学した芸術高校で非常勤講師として来ていた小池さんと出会い、今に至ります。
その後、一番自分がやりたい事を学べる場所は小池さんの元なのかもしれないと思いP.A.I.に入所しました。P.A.I.で学んだ事こそが今のわたしの全てと言っていいほど充実した時間でした。気づけば3年も通っていました。
甲斐 キャストやスタッフの熱量がダイレクトに伝わる事だと思います。どんなにいい作品でも生で観たものとビデオでは全然印象が違うことがよくあります。映像には残せないキャストの息遣いだったり、空気感、音質、照明を体感出来ることこそ舞台の醍醐味だと思います。あとは、好きなところにフォーカスして観ることが出来るところではないでしょうか?今回はキャストが13人もいるので13人それぞれのドラマが繰り広げられていることも大きな魅力です。
甲斐
小池さんの作品は、これまでに色々と観ているのですが、初めて観た小池さんの作品はパパ・タラフマラ『三人姉妹』でした。観たことない芸術を観た!というのが当時の感想です。それから、P.A.I.に入所したのち『風の又三郎』『世界会議』では、映像オペレーターというスタッフとして参加させていただいていたのですが、やはり舞台上に立ちたいという気持ちが参加する度に強くなったので今回オーディションを受けました。
小池さんの作品は、ジャンルに囚われず、常に小池さん自身が前へ未来へと進み進化していることが魅力です。そして、小池さんの周りには自然とそれに答える素晴らしいパフォーマーが集まります。
甲斐 13人のキャストと3人の音楽家、たくさんのスタッフ。日々、これぞ多様性だ!と常に発見のある現場です。歌をうたう人もいれば、振付を覚えるのが早い人もいる。互いに高め合える関係です。そして、英語、日本語、フランス語、ヒンディー語が飛びかっていることも魅力です。言葉も違えば文化も違う。作中のことだけでなく、日常的にも発見だなーと思うことが多々あります。
甲斐 未来でありながら、遠い昔のように感じる風景が「2030世界漂流」では現れます。先なようですぐ目の前にある12年後。そんな12年後の風景を、今の自分が生きている世界と重ね合わせながら見ていただけたらと思います。