Soul of ODYSSEY【マレーシア公演】

火の鳥プロジェクト / 2023

【 会場 】
Damansara Performing Arts Centre(クアラルンプール、マレーシア)

【 公演日時 】
2023年10月26日~29日
計5ステージ

photo by 小池博史

日本とマレーシアの国際共同制作事業として、クアラルンプール・シェイクスピア・プレイヤーズと共催し、同年10月にクアラルンプールにて初演。マレーシアで8名のキャスト、1名の音楽家を選抜し、日本からは能役者・小鼓演奏家の今井尋也が出演。

世界三大叙事詩『オデュッセイア』(紀元前 8世紀 ホメーロス/ギリシャ)を題材に「疑心暗鬼」や死への恐怖、生きることの苦悩を問いかけた。欲望、苦悩が交錯し死が積み重なっていくが、その「再生」に向けたプロセスを人間に欠かせない性として描く。

本作は、2022年に始動した4カ年の国際共同制作企画「火の鳥プロジェクト」の第2章にあたる。混沌から調和、再生へと進む「火の鳥プロジェクト」において、本作はオデュッセウスの壮大な旅を通じて、生の苦悩や死の観念、人間の欲望を深く描写し、魂の探求と人間の営みの深遠さを表現した。

photo by 小池博史

▼あらすじ

トロイア戦争の英雄・オデュッセウス王は、終戦後に海神・ポセイドンの怒りを買ったことで10年間もの間帰国を阻まれていた。荒れ狂う海、一つ目の巨人・ポリュペロスや魔女キルケー、妖艶なカリュプソーに翻弄され仲間を失いながらも一人生き延びる。
一方の故郷イタケー、夫の帰還を信じ待ち続ける王妃ペネロペと王子テレマコスは求婚者たちの横暴に宮廷は荒れ果て、苦しんでいた。試練を乗り越え帰国したオデュッセウスは宮廷に潜入し、テレマコスと協力し求婚者たちを討ち滅ぼす。
王妃との再会、そして血塗られた復讐の果てに見るものとはーー。
戦いと愛、苦悩と歓喜が交錯する壮大な叙事詩の舞台化。

photo by Goh Bong Hiang

▼公演へのコメント

軽快で、ダイナミックで、見事だった。狂気的な部分もあったが、メトロノームのようなタイミングでコントロールされており、小池版『Odyssey』は様々な意味で壮大で、小池博史はダイナミックなストーリーテラーであった。パフォーマーの身体は言葉を必要としないほど表現力豊かで、私たちを精神的現実世界へと導いていった。
– ジョー・クカサス(批評家・演出家・俳優)

劇の最後の瞬間、オデュッセウスも倒れた。疲れ果てていたのだろうか。それとも彼の人生も終わったのか?結末は未定だが、反戦の思いは明らかだった… 「オデッセイの魂」を乗せた船の胴体を形成する太いロープのように、全員が固く結ばれ、芸術のワンダーランドへと航海を続けていた。
– 西北孤鸟(批評家、星洲日報-マレーシア最大発行部数の日刊紙)

メランコリックな幕間から大衆に受けるユーモアまで、さまざまに変化する。…ひとたび制御された混沌の中に身を置くと、トーンの転換は意図的というだけでなく、的を射ていると感じられるようになる
– シャーミラ・ガネサン(ライター・文芸評論家)

▼出演者

脚本・演出・構成・振付:小池博史

出演:
リー・スイキョン(マレーシア)
今井尋也
アドラン・サイリン(マレーシア)
ソフィア・テンクヌルル(マレーシア)
セン・スーミン(マレーシア)
スンヘン・リン(マレーシア)
ティン・ラマン(マレーシア)
ジェームス・カン(マレーシア)
リー・スイセン(マレーシア)

音楽:サントシュ・ロガンドラン(マレーシア)
美術:オマール・マサカリ(マレーシア)、ユスマン・モクタル(マレーシア)、小池博史
照明:アメリア・タン(マレーシア)
映像:ジェイ・ チヤ(マレーシア)、ブライアン・チャン(マレーシア)

▼主催・協賛

photo by William Chong
photo by Goh Bong Hiang