その5!!!! 5ページ目

ウッタラ王子の御者として戦場に同行したアルジュナが、とうとう正体を明かしてしまいます・・・!どうなる?パーンドゥ家の兄弟たち!


 

 
小谷野「ウッタラ王子は自分イケると思って戦場に向かうんだけど、いざ到着したらやっぱりイケませんでした・・・みたいな感じで怖気ついちゃって引き返そうとするんだ。」
 
まつりか「そ、それでどうなるんですか?!」
 
小谷野「それで、アルジュナがとうとう自分の正体をウッタラ王子に明かして、王子に代わって戦いに向かうのです!」
 
まつりか「えー!明かしちゃっていいんですかー!!見つかっちゃうじゃないですかー!」

 

再び えーーーー!

小谷野「ふふふふ・・・、見つかっちゃうんだけど、そのウッタラとアルジュナが戦いに出たその日がちょうど13年目の最後の1日で、アルジュナが持っていたガーンディーヴァという大きな弓を放つと同時に夜が明けて13年が終わるのです・・・!」
 
まつりか「わー劇的!!夜明けの鐘だったんですね・・・はっ!!!だから幻祭前夜なんですね!!」
 
小谷野「ふふふ、まさにそういうことなんですよ。」
 
まつりか「すごい!!!!!今更だけど!!!!」
 
小谷野「あの弓の音が、同時に戦争への幕開けなわけ。」
 
まつりか「ひゃー!」

 

ガーーン! ディーヴァ!

まつりか「あ、ってか、私押してますもんね。」
 
小谷野「何を?」
 
まつりか「ちょうどドゥルヨーダナが舞台上で『13年経ってないのに化けの皮を表したな!』って言っている後ろで字幕映像で『その瞬間13年は明けていた』って流すんで、ボタン押してるんです。」
※まつりかは東京公演で映像オペレートを担当します。
 
 

 
小谷野「まさに、それです!自分が何を担っているのかわかった?君は時間なんだよ!
 
まつりか「ようやく今わかりました!!そりゃータイミング間違えたら怒られるわ!」
 
小谷野「そりゃそうだ!」
 
一同爆笑 

君は時間だ!!!!

 

 

まつりか、妄想を始める


まつりか「パーンドゥが呪いにかけられて死んじゃったっていう下りも、じつは素敵な王様だったパーンドゥさんがうっかり愛人との情事中に腹上死してしまって笑、"こまった!"ってなった時に、それを神聖化させるために「呪い」とか「神様の子供」とか、そういうエピソードを付け加えて行ったんじゃないかなとか。妄想し始めてしまったんです。」

 

 
小谷野「まぁ、でも神話ってそういうところあるよね。実際に起きたことを勝手に関連付けて神聖なものにしてしまったりとか。」
 
まつりか「この物語の内容が、あり得なければあり得ないほど、本当にあったんじゃないかって思えてきたんです。だって、想像を思いっきりこえてくるじゃないですか!」
 
小谷野「確かに、通常では思いつかないような展開が現実ではおきたりしますからねぇ。」
 
まつりか「確認しようがないから、わかんないですけどね笑」
 
小谷野「あ、でも羅刹とかも、じつは先住民のことだったりするという見方もあるんだよ。」
 
まつりか「え!そうなんですか!」

 

小谷野「そうそう。あと、クリシュナは青いと言われていて、今は真っ青な姿で描かれることがおおいけど、あれは本来は"青黒い"ということなんだ。マハーバーラタはもともと、アーリア系の人たちの話お話で、その人たちが先住民を取り込むために、青黒いクリシュナをがヴィシュヌ神の生まれ変わりってことにしたらしい。」
 
まつりか「そうなんだぁ。」
 
 小谷野「こういう、神話化、物語化っていうのはじつは受け入れ難い事実とかを、共有しやすくするためにあるシステムだったりするからさ。物語化しないと受け入れられないことっていっぱいあるでしょ?親しい人の死とかも、それに意味をもとめて生きている人が受け入れるために物語化がある。差別とか、格差とか、侵略とかもそうかもしれないよね。」
 

真っ青に描かれることのおおいクリシュナ

 まつりか「あー!わかる気がします!私も失恋したとき、自分の中で過去のことにするために、あった出来事をメモ帳に書き出したことあります!後で読んで爆笑しました!」
 
小谷野「まさに、それだね笑 そういうことで、出来上がっているんですよ、世の中というのは。」
 
まつりか「わー、私また一つ大人になりました!」
 
小谷野「笑」

まつりか「あ、ち、ちなみに、クリシュナって・・・誰だがじつは知りません。」
 
小谷野「あれ?そうだっけ?クリシュナはマハーバーラタではヤーダヴァ族っていう一族の王子で、アルジュナの親友ということで登場するよ。マハーバーラタの中で最も有名な "ヴァガヴァットギータ"の章で出てくるメインキャラ。今回はあんまり出てこないけど、第3章ではかなりガッツリ出てくるんじゃないかな!」
 
 

 

劇中のクリシュナさん

まつりか「え!第3章もみたくなってきちゃった!」
 
小谷野「来年はインドネシアでの公演の予定だよ〜〜!」
 
まつりか「うわー!見に行っちゃおうかなっ。」
 

っていうか、小谷野さんってやたらマハーバーラタに詳しい。

なんで?


まつりか「ところで、小谷野さんなんでそんなに詳しいんですか?」
 
小谷野「おぉ、素朴な疑問だね。僕はこう見えてバリ舞踊家なんだけど」
 
まつりか「はい!顔がバリ仮面にそっくりです!」

 
 
どっちが仮面か
わからないですね!!!

小谷野「バリでは、いろんなところでマハバーラタが使われているんだよ。あとアジアだと、タイ/バンコクの空港いくと、一番メインのホールにマハーバーラタにも出てくる一場面(乳海攪拌/にゅうかいかくはん)を表したでっかい石像みたいなものがあったりね。」
 
まつりか「へー!!まさにこれから行くバンコクですね!」
 
小谷野「あと、カンボジアのアンコールワットの壁にも、マハーバーラタが一面にブワーと彫られているんだよ!アンコールワットは、当時でいうところのアミューズメントパークだったんじゃないかって気がするくらい。なんていうか、ディズニーランドみたいな笑」
 
まつりか「そうなんですね・・・マハーバーラタって、なんかものすごい有名なんですね。知らなかったのは私たちだけっていうか・・・、なんかちょっと恥ずかしい・・・」
 
小谷野「べつに恥ずかしがることないけど笑、マハーバーラタ知ってるとアジアでの旅行とかも、きっと何倍も楽しくなると思うよ!」

 

バンコクの空港にある「乳海攪拌」像

本当はテーマパークだった?アンコールワット

アンコールワットの壁に掘られている「マハーバーラタ」

 
 

まつりか「私は、このインタビューシリーズをへて、バージョンアップした気がします!」
 
小谷野「まつりかバージョン3.0みたいな?笑」
 

 
 

まつりか「でも、どうして今のタイミングで"マハーバーラタ"をテーマに舞台をつくろう!ということになったんですか?なんでいま、日本でやるんだろう?」
 
小谷野「それは、小池さんに直接聞いてみたら?」
 
まつりか「は!そうですね!そうします!小谷野さんありがとうございました!」
 

とっても楽しくお話し聞かせて頂きました!

 

まつりか3.0にバージョンアップした!

今回はものすごく長くお話しを伺ってしまいました!
次回は、ラスト!演出家の小池博史さんと、さらにパフォーマーの白井さち子さん、あらた真生さんにもご参加いただき、お話し伺いました!
 
どうぞご期待ください!

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話を聞いた人

多賀谷まつりか

演出助手 Asistant Director


舞台芸術の学校(P.A.I.)「からだをとりもどすスキルアッププログラム」受講生。踊るのは好きですがカタカナは苦手です。3月には学校の卒業公演もあるのでぜひ見に来てください〜!

1991年広島県生まれ。B型。ダンスをやったりお芝居をやったりしながらすくすく育つ。身長141cm。大学卒業後P.A.I.に入学。

 

今回答えてくれた人

小谷野哲郎さん

バリ舞踊家・パフォーマー


東海大学音楽学課程在学中よりサウンドスケープ研究の傍らバリ舞踊を始める。 1995年よりインドネシア政府給費留学生としてインドネシア国立芸術高等学院に留学。 学外でも現代バリ舞踊界最高の舞踊家達に師事し、舞踊技術と同時に精神的哲学的影響も強く受ける。2006年、Asian Cultural Councilの助成によりアメリカに滞在。パパ・タラフマラ作品では「ガリバー&スウィフト」「パンク・ドンキホーテ」「白雪姫」に、小池博史ブリッジプロジェクト「注文の多い料理店」「風の又三郎」出演。2013年の「マハーバーラタ」第1章、2014年の「マハーバーラタ」第2章にも出演。

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